私たちがリノベーションを手がけた、北京隆福寺M WOODS芸術社区のエントランスに隣接するカフェ。展覧会を見終わった人達がコーヒーを楽しむ空間として、少し冷たい印象だったエントランス部分に緑豊かな環境をつくること、単純なテーブルと椅子の組み合わせではない、より多様でリラックスできる場所を提供することを考えた。
店舗の中央に、大きな階段状の家具を配置した。
高さの違いによって、それぞれの段差は、ベンチとして使われたり、テーブルとして使われたり、使い方を限定されない自由な雰囲気をつくりだしている。
その家具に豊富に配置された植物は、プライバシーを確保するパーティションの役割も果たしている。
外部の広場に面したガラスファサード部分にはカウンター席を配置し、コーヒーを飲みながら広場を行き交う人々を眺める楽しみを味わうことができると同時に、外から見るとカウンター席の人々が建物ファサードの特徴の一部となっている。階段状家具と床の材料として、伝統的に室外の壁面や床材として使われることの多いモルタル洗い出しを使っている。
自由に座り方を選べる階段状家具、多くの植物、外部広場と一体となるような透明なガラスファサード、室外と錯覚するような素材、これらの特徴によって、室内でありながら、あたかも公園の段差に腰掛けてコーヒーを飲んでいるような自由を感じられる空間となった。
