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Forest Valley Hot spring Center

承德市

20190901

PROJECT NAME

Forest Valley Hot spring Center

PROJECT LOCATION

河北省 承德市 中国

CLIENT

拾得大地幸福集团

SIZE

地上2階

SITE AREA

-

BUILDING AREA

1560㎡

DESIGN PERIOD

06.2017-12.2017

CONSTRUCTION PERIOD

09.2017-09.2019

PHOTOGRAPHY CREDIT

夏至

1 Background

河北省承德市に位置する温泉・スパ施設。

美しい森に囲まれた自然豊かな土地で、古代の火山活動により、今でも天然の温泉資源に恵まれた場所である。温泉自体は、昔からこの地域に多く存在していたが、その多くが地元の人達が日常的に使うための場所だった。

今回のプロジェクトでは、大都市で日々忙しく生活する人々のために、都市の喧噪から離れて自然に囲まれた場所でリラックスできる空間を提供すること、そして、温泉と植物が一体となった、これまで存在したものとは異なる、新鮮な温泉体験をつくりだすことを考えた。

当初設計を始める際には、具体的な敷地はまだ決められておらず、私たちは附近を2日間歩き回り、近隣の山に登り、周辺環境を細かく観察した。最終的に選ばれたのは、傍らに清流の流れる平地となった場所で、背後には小さな山の南向きの斜面が迫り、更に背後にはいくつもの大きな山が重なり合って見える、まさに森ノ谷と呼ぶにふさわしい場所だった。敷地を訪れた際には、太陽の光を浴びてトウモロコシが豊かに実り、直感的に自然のエネルギーに溢れた場所であることが感じられた。

2 Concept

周辺の山や森の中を歩いていると、明るい場所から急に暗くなったり、場所によって温度が変化したり、突然水の流れる音や鳥のさえずりが聞こえてきたり、空気がふっと急に流れたり、絶えず周りの環境の状態が変化していることに気付く、そして、そのことが豊かで心地よい空間体験をつくりだしている。

そのような、山や森の中を歩き回る自由で開放的な空間体験を、この建物の中にも取り込みたいと考えた。 

植物の空間としての幅46m、奥行き20m、高さ6.7〜7.5mのガラスの箱に、温泉の空間として8つの大きさ、高さ、角度の異なる塔が挿入されている。ガラスの箱と8つの塔が合わさった全体の形は、幾何学的でありながら、背後の自然の山並みと一体となり、あたかもこの建物がずっとこの場所にあったかのような、新しい自然の状態をつくりだしている。

3 Spatial Features

この建物には全部で8つの塔があり、1階ではそのうち2つは温泉として使われ、その他はエントランス、更衣室、バックヤード、オフィスなどサービス機能として使われている。2階では、2つはスパとして、5つは温泉として、1つは休憩場所として使われる。塔の外の、ガラスに囲まれた空間は、多様な植物にあふれたオープンな空間となっている。8つの塔は、1階においては植物の中を抜ける遊歩道によって、2階においては空中ブリッジによって繋がれている。いずれの動線も、森の中を歩き回るかのように、行き止まりのない、多様な選択ができるような動線となっている。そして、その動線上に、カフェや休憩場所、身だしなみを整える場所、ショップなどが点在しており、歩行地体験をより豊かにしている。

塔の中では、温泉に浸かりながら、大きな窓を通して周辺の緑の山並みや深く積もった雪景色を味わうことができ、また、上を見ると塔の頂部に設けられた天窓を通して、ゆっくりと飛んでいく飛行機や、夜には美しい星を見ることもできる。

4 Materials and Details

塔の外壁は、玄武岩のカーテンウォールとしている。玄武岩は、火山活動の結果としての溶岩由来の石材であり、同様に火山活動からエネルギーを得ている温泉の外壁材料としてふさわしいと思えた。

濃いグレー、グレー、薄いグレーと濃淡の異なる3種類の板材をランダムに割り付け、自然の色彩の粒子感と呼応させている。また、石材を固定する際に、瓦のように上部から一層一層重ねながら固定することで、立体感のある立面となっている。室内では主に竹、木、石材といった自然材料を使用し、また、塔の内部では、四種類の異なる照明方式によって温泉に浸かる儀式感を演出している。

5 Spirit of Space

変化のリズムとスピードがますます速まる現代都市生活にとって、温泉のような機能はますます重要になりつつあるのではないだろうか。温泉において、人々は、衣服を脱ぎ去り裸になる、と同時に、年齢や社会的地位、職業、学歴、収入といった、社会における様々なしがらみをも脱ぎ去り、純粋な動物としての人間の状態に戻る。このような状態で、その場所の自然を味わったり、そこで出会う人たちと交流したりする体験は、人間にとってより素朴で、本質的なものなのではないだろうか。

森ノ谷温泉中心は、人々が動物に戻り、純粋な状態で自然と人と再度出会う、そんな場所となっている。

 

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